
「こんにちは、村人です。」

「ヒーラーでぇす。」

「さて、今日も始まりました。ヒーラー姉さんが斬る!クラクラ人生相談のコーナーですけれども

「はい」

「今日の悩みはこちら、群馬帝国遠征軍のマリンさんからいただきました。
『こんにちは、pontaさん。私はドラゴンラッシュを愛していますが、よくリモコンをなくします。ドラゴンが対空砲に向かっていかず、とっちらかり、村の周囲のキャンプや大工小屋に向かってしまいます。どうしたらいいでしょうか』とのことです。」

「ドラッシュがうまくいかないという悩みかね」

「はい。今日は特別ゲストとして、本人に来ていただきました。どぞー」

「おおおおおおお」

「…我を呼び出したのは、うぬか」

「そうでーす(親指を突き立てながら)」

「有限の命を持つ、弱きものよ、あわれな者よ…我に深淵の謎を問うというのか…」

「そっすね」

「笑止…。神にも等しき知恵を持つわが竜族の助けをうぬらごときが、借りようというのか…」

「ねえねえねえ村人ねえねえ」

「ヒーラーさん?」

「何?こいつ最後までこのノリでいくわけ?超ーめんどくさいんだけど」

「さぁ…?」

「で、何だ。今日は何用だ?」

「いきなりフランクになったし!」

「えっと、ドラッシュのうまいやりかたについて、教えてほしいんです」

「お前はどう思う?」

「え?」

「だからお前はどう思うって聞いている。そこの羽根の生えた女よ」

「えっと、いわゆるサイドカットがいいんじゃないかなーと。村の壁外の施設を壊してから、ドラゴンを放つやり方」

「そう、俺もそう思っていたのだ。思っていたけど、言わなかっただけだ」

「ねえねえねえ」

「はい」

「こいつ、ちょっと、なんかさっきと別種のめんどくささになってきたんだけど」

「確かに」

「何をこそこそ言ってる?我のこと嫌いなのか?」

「め、めんどうくせえ…」

「いえいえドラゴンさん、全然大丈夫ですよ」

「全然大丈夫って何だ?『全然』のあとは『否定形で受ける』って小学校で習わなかったのか?」

「…」

「まあうぬらが間違えても仕方ないとは思ってはいるけど、少しは言葉に気を遣ったほうがいいと思うぞ」

「村人!村人!気持ちはわかるけどホーミング対空爆弾を持ち出すのはいくらなんでもやりすぎだ!あと私も死ぬ」

「すみません。取り乱しました。まさかドラゴンがここまで面倒くさいユニットとは思いませんでした」

「この面倒くさいドラゴン、好きなほうに動いてとっちらかって、一見プレイヤーの思うとおりに動かせないんだけど、ふたつだけ動きをコントロールできる手段があるんよ」

「それは何ですか?」

「さっき言った『サイドカット』と『レイジ』の二つなんよ」

「あー、それ、我もそれ、前から言ってることだけどね」

「ほー。じゃーあんた、『レイジ』について説明してみなさいよ」

「それはほら、より現場に近いうぬらの方が説明がうまいと思うし」

「ドラゴンさんご自身のことだと思いますが…」

「…『レイジ』ってのは、呪文のレイジのことね。これは破壊力を上げる呪文として重宝されがちなんだけど実は、スピードアップツールとして、より有用なんよ。思わぬ場所にユニットが向かったとき、あるいは耐久性の強い設備の破壊に手間取ったとき、プレイヤーがそこからの脱出に介在できる唯一の手段といっていいと思う。
ユニットを出撃させれば操れない仕様のクラクラにとって、レイジがある意味、出撃後の唯一のリモコンだと私は思うんだよね。ドラッシュのお供にレイジを携帯すれば、"早送り"のカードをプレイヤーは持つことになるんだよね」

「そう、我もそう言おうと思ってた」

「うーん。でも、村の四隅の大工小屋に、ドラゴンが向っていったらどうするんですか?確かにレイジを使えば大工小屋を早く破壊できると思います。でも数少ない呪文枠をそんなことに使ったらもったいない気がします」

「確かに…。おい羽根女。そういう、いろいろ問題点があると思うがそのあたりはどう説明するんだ」

「だから、何度も言うけどドラッシュには『サイドカット』が重要なんよ。事前にガーゴイルやアーチャーで周辺施設を掃除しておけば、つまりドラゴンの攻撃先の選択肢をなくしておけば、余計な方向にはいかないと思うよ。レイジは村の中心部で複数匹に対して使うといいんじゃない?」

「サイドカットな。ただまぁ、そういう細かいことをしなくても我を複数匹、適当に出撃させるだけで星3とれるぞ。我は攻撃力が高いからな!」

「んーでもさ、アンタ足遅いから、よく時間切れになるじゃん?サイドカットはそういう時間切れのリスクを減らす意味でもやったほうがいいと思うよ」

「………」

「な、なに?」

「怒ってるんですよ…遅いとか言われたから。プライドを傷つけらんですよ!」

「もーめんどくさいなー。もー」

「………」

「会話までとっちらかってどうするんだっつーの!」

「おあとがよろしいようで。。というわけで引き続き、相談と『群馬帝国遠征軍』への加入、お待ちしてまーす」